「サイクリストの聖地」と呼ばれるしまなみ海道。走ってみたいけれど、宿を尾道側に取るか、今治側か、それとも途中の島か——実はこの選択で、旅の組み立てが大きく変わります。

この記事では、しまなみ海道の宿泊エリアを「走り方」と「帰り方」から逆算して選べるように、尾道・今治・島の中それぞれの特徴と、向いている旅のスタイルを整理します。

しまなみ海道の宿選びは「走り方」と「帰り方」で決まる

しまなみ海道は、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ全長約70kmのサイクリングルートです。向島・因島・生口島・大三島・伯方島・大島の6つの島を橋でつなぎ、路面には青い「ブルーライン」が引かれているので、初めてでも迷わず走れます。

所要時間の目安は、体力に自信のある人で5〜6時間、初心者はゆっくり走って8〜10時間ほどとされています。数字だけ見ると日帰りも可能ですが、島ごとの見どころに立ち寄っていると、あっという間に1日では足りなくなります。だからこそ「どこに泊まるか」が、しまなみの旅の設計図そのものになるのです。

選択肢は大きく3つ。スタート地点の尾道側、ゴール地点の今治側、そして中間の島の中です。あわせて、意外と見落とされがちな「走り終えたあと、どうやって戻るか」も宿選びに直結します。順に見ていきましょう。

なお、広島市内や宮島も含めた広島全体のエリア選びは広島はどこに泊まる?にまとめています。この記事はしまなみ海道に絞って掘り下げます。

尾道に泊まる:前泊してスタートを切る定番

本州側から向かうなら、尾道に前泊して朝から走り出すのが王道です。

前日の夕方に尾道入りすれば、レトロな商店街や海沿いの散策、尾道ラーメンの夕食まで楽しんだうえで、翌朝いちばん涼しく空いている時間帯に出発できます。特に初心者が1日で走り切るつもりなら、朝のスタートは必須と言っていいほど。8〜10時間かかる想定だと、昼スタートでは日没に間に合わなくなるからです。

尾道はサイクリストの受け入れに慣れた町で、駅周辺には自転車ごと客室に入れられる宿や、屋内のサイクルラックを備えた宿が増えています。予約の際に自転車の保管方法を確認しておくと安心です。

コースの性格として、尾道スタートは全体になだらかで、最後に今治側の来島海峡大橋への登りが控える構成です。体力を温存しながら、ラストに全長約4kmの世界初の三連吊橋を渡って締めくくる——達成感を重視する人に向いた順番です。

向いている旅行スタイル:本州側からアクセスする、朝イチで走り出したい、前日に尾道観光も楽しみたい。

今治に泊まる:後泊でゆっくり、または逆走スタート

四国側の今治は、走り終えたあとの後泊地として、また今治スタートの前泊地として使えます。

ゴール後の体は、想像以上に疲れています。夕方に今治へ着いてそのまま長距離移動するより、今治に1泊して汗を流し、翌日に移動するほうがずっと楽です。今治駅周辺にはビジネスホテルタイプの宿がまとまっていて、レンタサイクルの中央ターミナルであるサンライズ糸山には宿泊施設も併設されています。

逆に今治からスタートする場合は、序盤に最大の難所である来島海峡大橋への登りと大島の峠越えが来ます。体力のあるうちにきつい区間を片付けたい人には、実はこちらの順番が合理的です。

向いている旅行スタイル:四国側からアクセスする、走ったあとは移動せずゆっくりしたい、きつい区間を先に済ませたい。

島の中に泊まる:1泊2日でしまなみを味わい尽くす

筆者のいちばんのおすすめは、思い切って途中の島に泊まる1泊2日プランです。

定番は、ルートのほぼ中間にあたる生口島(瀬戸田)と大三島。初日に35kmほど走って島で1泊し、2日目に残りを走る配分なら、初心者でも余裕をもって完走できます。レモンの産地として知られる生口島の海辺の町並み、大山祇神社が鎮座する大三島。日帰りの人が通り過ぎてしまう島の夕暮れと朝の静けさは、泊まった人だけのごほうびです。

ただし注意点がひとつ。島の宿は数が限られています。小さな民宿やゲストハウス、近年増えている一棟貸しなどタイプはさまざまですが、いずれも部屋数が少なく、春や秋のベストシーズンの週末は早くから埋まります。島泊まりを軸にするなら、宿を先に押さえてから日程を固めるくらいの順番がちょうどいいです。ワンランク上の滞在を狙うなら、一休.comで瀬戸内の宿を眺めてみると、雰囲気の良い一軒が見つかりやすいです。

向いている旅行スタイル:1泊2日でゆっくり走りたい、初心者や体力に不安がある、島の夜と朝を味わいたい。

見落としがちな「帰り方」から宿を逆算する

宿泊業の側から見ると、しまなみの旅で計画がほころびやすいのは、実は宿選びより「ゴール後の移動」です。

というのも、今治と尾道を直接結ぶバス路線は現在ありません。今治から本州へ戻るメインルートは、今治駅前から福山駅前への高速バス「しまなみライナー」(所要約1時間40分)で、そこからJRで尾道や広島方面へ向かう形になります。尾道側に車を置いて走る計画なら、この乗り継ぎ時間を最初から織り込んでおく必要があります。運行本数やダイヤは変わることがあるので、最新は運行会社の公式サイトでご確認ください。

レンタサイクルなら話は簡単です。しまなみ海道の公共レンタサイクルは乗り捨てに対応していて、尾道で借りて今治で返す片道利用ができます。ただし電動アシスト車など一部の車種は乗り捨てできない場合があるため、対象車種や料金の詳細は、しまなみジャパンの公式サイトでご確認ください。この仕組みを前提にすると、「尾道に前泊→走破→今治に後泊→バスとJRで帰路」という流れが、荷物も体力も無理のない組み立てになります。

また、向かい風や雨で予定どおり進めない日もあります。途中の島から路線バスや船で離脱できるルートがあることを頭の片隅に置いておくと、当日の心に余裕が生まれます。

しまなみ海道の宿選びまとめ

  • 尾道泊:本州側からの前泊に。朝イチ出発で1日走破を狙うなら必須級
  • 今治泊:走破後の後泊、または難所を先に済ませる今治スタートの前泊に
  • 島泊(生口島・大三島):1泊2日の中間泊。宿が少ないので日程より先に予約を
  • 今治〜尾道の直行バスはなく、帰路は福山経由が基本。「帰り方」まで決めてから宿を取る
  • レンタサイクルは乗り捨て対応(一部車種を除く)。片道利用を前提に組み立てられる

自転車で走る人もドライブの人も、しまなみ海道は「どこで夜を過ごすか」で旅の濃さが変わるエリアです。走り方と帰り方のイメージが固まったら、楽天トラベルやじゃらん一休.com、Booking.comなどで尾道・今治・島の宿を見比べてみてください。予約のタイミングに迷ったら、ホテルの予約はいつが一番安い?も参考になるはずです。

よくある質問

Q. しまなみ海道は日帰り(1日)で走り切れますか?

体力に自信のある人なら5〜6時間、初心者はゆっくり走って8〜10時間が目安とされています。走り切ること自体は可能ですが、島の見どころに立ち寄る余裕はあまり残りません。初めてなら、中間の生口島や大三島で1泊する1泊2日プランのほうが、景色も食も楽しめて満足度は高くなりやすいです。

Q. レンタサイクルは尾道で借りて今治で返せますか?

しまなみ海道の公共レンタサイクルは複数のターミナルで乗り捨てに対応しており、尾道で借りて今治で返す片道利用ができます。ただし電動アシスト車など一部の車種は乗り捨てできない場合があります。対象車種・料金・営業時間などの最新情報は、しまなみジャパンの公式サイトでご確認ください。

Q. 自転車と一緒に泊まれる宿はありますか?

尾道や今治、島の中には、自転車を客室に持ち込める宿や、屋内保管スペース・工具を備えたサイクリスト向けの宿が増えています。ただし対応は宿によってまちまちなので、ロードバイクなど大切な自転車で走る場合は、予約時に保管方法を確認しておくのが確実です。