鳥取県の宿は、「どの駅から入るか」で選ぶとほぼ外しません。関西からの特急は県の東端にある鳥取駅へ、岡山経由の特急は西の米子駅へ着くため、入ってきた側に宿を取るのがいちばん身軽な泊まり方です。
鳥取砂丘、三朝温泉、皆生温泉、境港の水木しげるロード。名前はどれも知っていても、それぞれが県内のどこにあって、移動にどれくらいかかるのかは、意外とイメージしにくいもの。この記事では、鳥取県を4つのエリアに分けて、どんな旅に向いているか、どこに泊まると動きやすいかを整理します。
鳥取の宿選びは「東の入口」か「西の入口」かで決まる
鳥取県は東西に細長い県で、鳥取駅から米子駅までは鉄道で約93kmあります。特急を使っても1時間ほどかかるため、「鳥取市に泊まって境港へ日帰り」「米子に泊まって砂丘へ」といった組み方は、移動だけで半日近くを使うことになりがちです。
そのうえで押さえておきたいのが、県の入口がふたつあることです。
関西から来るなら、東の鳥取駅が玄関口
大阪からは特急スーパーはくとが鳥取駅まで直通しています。鳥取県の案内では、大阪から鳥取までの所要時間は約2時間35分、姫路からなら約1時間35分です。乗り換えなしで着けるので、関西からの1泊2日なら、まずは鳥取市(東部)を拠点に考えると組みやすくなります。
岡山経由・山陰めぐりなら、西の米子駅が玄関口
新幹線で岡山まで出て、特急やくもに乗り継ぐと米子駅に着きます。同じく鳥取県の案内では、新大阪から米子まで約2時間53分が目安です。米子は皆生温泉や境港、大山への起点であり、島根県の松江・出雲にも近いので、山陰をまたいで巡る旅なら西側の拠点が便利です。
飛行機なら、東部に鳥取砂丘コナン空港、西部に米子鬼太郎空港があります。どちらに降りるかで、泊まる側もほぼ決まってきます。
最新の所要時間や運賃は、JR西日本や各航空会社の公式サイトでご確認ください。
鳥取市エリア:砂丘の朝と、港の海鮮に近い
鳥取駅の周辺と、鳥取砂丘の近くを含むエリアです。県の東の玄関口で、関西からいちばん早く着けます。
鳥取砂丘へは駅からバスで約22分
鳥取砂丘は東西約16km、南北約2.4kmにわたる海岸砂丘です。鳥取駅前から路線バスの鳥取砂丘線で砂丘会館まで約22分、土日祝日はループ麒麟獅子バスも走っています。駅前のビジネスホテルやシティホテルを拠点にしても、砂丘観光は十分こなせます。
砂の上を歩くのは思った以上に体力を使います。最高地点の「馬の背」まで登ると、ふくらはぎがしっかり主張してくるので、歩きやすい靴で行くのがおすすめです。
風紋を見たいなら、砂丘の近くに泊まる手もある
鳥取砂丘の見どころのひとつが、風が砂の表面に描く波のような模様「風紋」です。ただ、日中は多くの人が歩くため、足跡で消えてしまいがちです。風紋を狙うなら、人が少ない早朝が向いています。
路線バスは早朝の本数が多くないので、朝いちばんの砂丘を見たい人は、砂丘周辺の宿に泊まるか、レンタカーを使うのが現実的です。風の強さや向き、砂の乾き具合によって、風紋が出ない朝もあります。自然相手なので、見られたらラッキーくらいの気持ちで出かけると楽しめます。
賀露(鳥取港)の海鮮市場にも近い
鳥取駅から車で20分ほどの賀露地区には、鳥取港海鮮市場「かろいち」や、カニの展示館「とっとり賀露かにっこ館」があります。冬は松葉ガニの季節で、港の周辺がいちばんにぎわう時期です。
向いている旅行スタイル:関西からの1泊2日、鳥取砂丘がメイン、公共交通で動きたい、冬のカニも楽しみたい。
倉吉・三朝温泉エリア:県の真ん中で、湯治場の温泉街に泊まる
県のほぼ中央、倉吉駅を起点とするエリアです。東にも西にも出やすい位置にあります。
三朝温泉は倉吉駅からバスで約20分
三朝温泉は、三徳川に沿って旅館が並ぶ温泉地で、開湯から850年以上の歴史があると伝わります。ラドンを含む放射能泉として知られ、「三たび朝を迎えると元気になる」という言い伝えが名前の由来です。倉吉駅から路線バスで約20分、倉吉白壁土蔵群や三徳山三佛寺にも足を伸ばせます。
昔ながらの温泉街なので、宿の夕食を楽しんで、浴衣で川沿いを歩いて、翌朝もう一度お湯に入る。そういう「宿で過ごす時間」を主役にしたい人に向いています。ワンランク上の旅館でゆっくりしたいなら、一休.comのタイムセールをのぞいてみるのも一つの方法です。
湖畔の温泉を選ぶなら、はわい温泉・東郷温泉
倉吉の北東には、東郷池のほとりに、はわい温泉と東郷温泉があります。湖に面した宿が多く、朝夕の湖の景色を眺めながら過ごせるのが魅力です。倉吉駅からは路線バスで行けます。
倉吉周辺の路線バスには、三朝温泉・はわい温泉・東郷温泉を巡る2日間乗り放題の「湯~遊2デーパス」(1,300円)もあります。販売場所や対象路線は、三朝温泉観光協会の公式サイトで確認しておくと安心です。
向いている旅行スタイル:温泉宿でのんびり、東西どちらにも寄りたい2泊3日の中日、白壁の町並みや三徳山も見たい。
米子・皆生温泉エリア:西部と島根をまたぐ拠点
米子駅と、その北の日本海沿いにある皆生温泉を含むエリアです。
皆生温泉は米子駅から約5km、バスで約20分
皆生温泉は、日本海に面した温泉地です。米子市観光協会の案内では、米子駅から約5km、路線バスなら約20分。海を眺める露天風呂のある宿が多く、夕方の日本海を見ながら湯に浸かれるのがこのエリアならではの過ごし方です。
米子駅前にはビジネスホテルも多く、特急や空港バスの発着に便利です。温泉を優先するなら皆生、移動の身軽さを優先するなら駅前、と使い分けるとよいでしょう。
大山にも、島根の松江にも近い
米子は、中国地方を代表する山、大山への起点でもあります。紅葉や登山が目的なら、大山寺周辺の宿も選択肢に入ります。
また、岡山から来る特急やくもは、米子を出たあと島根県の松江・出雲市方面へそのまま走ります。県境をはさんで隣り合う位置関係なので、出雲大社や宍道湖と合わせて山陰を横断する旅なら、米子・皆生を拠点にすると両県を行き来しやすくなります。島根側の宿選びは、松江と出雲、どこに泊まる?でまとめています。
向いている旅行スタイル:岡山経由・飛行機で米子から入る、島根と組み合わせる、海の見える温泉宿に泊まりたい。
境港エリア:妖怪の町と、日本海の港町
米子から北へ延びる半島の先にある港町です。
米子駅からJR境線で約45分
境港へは、米子駅の0番ホームから出るJR境線で約45分。妖怪のイラストが描かれた列車が走っていて、終点の境港駅から水木しげる記念館までの約800mが「水木しげるロード」です。沿道には妖怪のブロンズ像が177体並んでいます。
夜の水木しげるロードは泊まった人の特権
境港観光協会によると、水木しげるロードでは、日没から22時まで妖怪の影絵やブロンズ像、樹木のライトアップが楽しめます。昼間はにぎやかな通りも、日が暮れると人が減り、足元に妖怪の影が浮かぶ少し不思議な雰囲気になります。
米子方面へ戻る列車の時間を気にせず夜の通りを歩けるのは、境港に泊まった人だけです。朝は漁港や市場の見学もできるので、港町の朝晩を両方味わいたいなら、境港泊はかなり満足度が高くなります。
冬はカニの港町になる
境港は日本海有数の水産都市で、冬は松葉ガニ、秋から春にかけてはベニズワイガニが水揚げされます。港のそばには水産物直売センターがあり、市場の2階には競りを見下ろせる見学施設「境港おさかなパーク」もあります。
カニの季節に鳥取を訪れるなら、どこに泊まって、いつ行くかで体験が大きく変わります。詳しくは松葉ガニの季節、鳥取は泊まるべき?で、市場の時間や漁期と合わせてまとめています。
向いている旅行スタイル:水木しげるロードの夜も楽しみたい、漁港・市場の朝を見たい、海鮮が目当て。
日数別・鳥取の泊まり方の組み立て
1泊2日なら、東か西のどちらかに絞る
1泊2日で東西を両方回ろうとすると、移動に追われる旅になりがちです。関西から来るなら鳥取市で砂丘と港、岡山経由なら米子・皆生で温泉と境港、というように、入口側のエリアに絞るのがおすすめです。
2泊3日なら、東から西へ横断する
2泊3日あるなら、県を一方向に横断すると無駄がありません。
- 1日目:鳥取駅着 → 鳥取砂丘 → 鳥取市に泊まる
- 2日目:倉吉へ移動 → 白壁土蔵群を歩く → 三朝温泉に泊まる
- 3日目:米子へ移動 → 境港・水木しげるロード → 米子から岡山経由で帰る
行きは大阪からスーパーはくと、帰りは米子から特急やくもと新幹線、という片道ずつ違うルートにすれば、来た道を引き返す必要がありません。宿の移動は2回になりますが、毎日少しずつ西へ進むので、1日あたりの移動は1時間前後に収まります。
車は必要?
鳥取市・倉吉・米子の主要エリアは、鉄道と路線バスでひと通り回れます。一方で、早朝の砂丘、大山、郊外の温泉地を自由に巡りたいなら、レンタカーがあると行動の幅が広がります。冬は雪が降る日もあるので、冬に車で回る場合はスタッドレスタイヤの装備を確認しておきましょう。
鳥取の宿エリア選びまとめ
- 関西から来るなら東の鳥取駅、岡山経由や島根と組み合わせるなら西の米子駅が玄関口
- 鳥取市エリアは砂丘と港に近く、関西からの1泊2日に向く。風紋を狙うなら砂丘の近くに泊まる
- 三朝温泉・はわい温泉は県の真ん中。宿で過ごす時間を楽しむ温泉旅に向く
- 米子・皆生温泉は海の見える温泉と、松江・大山への拠点を兼ねる
- 境港は、夜の水木しげるロードと朝の市場を楽しみたい人に向く
- 1泊2日は東西どちらかに絞り、2泊3日なら東から西へ横断すると移動が少ない
鳥取は、どこに泊まるかで「移動の旅」にも「滞在の旅」にもなる県です。まずは入口の駅を決めて、そこから一番やりたいことに近いエリアを選んでみてください。
エリアの目星がついたら、楽天トラベルやじゃらん、一休.com、Booking.comなどで、同じエリアの宿を見比べてみてください。温泉旅館か駅前のホテルかで価格帯も過ごし方も大きく変わるので、旅の主役に合った一軒を選ぶのがおすすめです。
よくある質問
Q. 鳥取旅行、初めてならどのエリアに泊まるのがおすすめですか?
関西から特急で来るなら、鳥取駅周辺の鳥取市エリアが無難です。鳥取砂丘まで路線バスで約22分とアクセスがよく、駅前にホテルの選択肢も多いため、初めてでも動きやすいエリアです。岡山経由や飛行機で米子に着く場合は、米子・皆生温泉を拠点にして境港を組み合わせるとよいでしょう。
Q. 鳥取市と米子は、どちらかに泊まって日帰りで回れますか?
回れなくはありませんが、鳥取駅から米子駅までは鉄道で約93km、特急でも1時間ほどかかります。往復すると移動だけで2時間以上になるため、1泊2日なら東西どちらかに絞るのがおすすめです。両方行きたい場合は、2泊3日にして宿を移しながら東から西へ横断すると、引き返す移動がなくなります。
Q. 三朝温泉と皆生温泉は、どう選べばいいですか?
山あいの川沿いで、昔ながらの温泉街の雰囲気を味わいたいなら三朝温泉、日本海を眺めながら湯に浸かりたいなら皆生温泉が向いています。旅程で選ぶなら、県の中央を拠点にしたい場合は倉吉に近い三朝温泉、境港や島根にも足を伸ばしたい場合は米子に近い皆生温泉が便利です。




